解体工事で使える補助金・助成金|工場・倉庫で対象になるもの
2026年10月28日 更新

工場や倉庫の解体には、建物の大きさによっては数百万円から数千万円の費用がかかります。少しでも負担を軽くしたいと考えたとき、まず気になるのが「解体に使える補助金や助成金はないのか」ということではないでしょうか。
インターネットで「解体 補助金」と調べると、たくさんの制度が出てきます。ところが、その多くは古い空き家や住宅の解体を対象にしたもので、工場や倉庫の解体には使えないものがほとんどです。工場・倉庫のオーナーが使える制度は限られており、しかも「解体そのもの」ではなく、廃業や事業転換、アスベスト対策など、別の目的にあわせて解体費用を補助する仕組みになっています。
この記事では、工場や倉庫の解体で使える可能性のある補助金・助成金を、目的別にわかりやすく整理します。工場の閉鎖や廃業で使える国の補助金、事業転換で使える補助金、アスベスト対策の補助金、自治体の制度、そして補助金を使うときの注意点まで、工場・倉庫のオーナーの立場から解説します。
なお、補助金の内容は、年度や公募の回ごとに変わります。この記事の内容は2026年10月時点で公開されている情報をもとにしています。実際に申請するときは、必ず最新の公募要領や、自治体の窓口で内容を確認してください。
工場・倉庫の解体に補助金は使えるのか
「解体」そのものへの補助は、ほとんどが住宅向け
結論から言うと、「工場や倉庫を解体するから補助金がもらえる」という制度は、ほとんどありません。自治体が設けている解体の補助金の多くは、放置された古い空き家や、倒壊のおそれがある危険な住宅を取り壊すためのものです。目的は、地域の防災や防犯、景観を守ることにあり、対象は住宅や、住宅と店舗を兼ねた建物に限られていることが一般的です。
そのため、「工場 解体 補助金」で調べて出てくる自治体の空き家解体補助を見て、使えると思って問い合わせたら対象外だった、ということがよくあります。工場や倉庫で補助金を検討するときは、まずこの前提を知っておくことが大切です。
「廃業」「事業転換」「アスベスト対策」の中で使える
一方で、解体の目的によっては、工場や倉庫でも補助金を使える場合があります。代表的なのは、次の3つの場面です。
- 工場を閉鎖・廃業する:廃業にかかる費用の一部として、建物や設備の解体費が補助される
- 事業を転換して工場を生まれ変わらせる:新しい事業のための建物の改修とあわせて、古い建物の撤去費が補助される場合がある
- アスベストを除去する:吹付けアスベストの調査や除去の費用が補助される
つまり、工場・倉庫の解体で補助金を考えるときは、「解体の補助金」を探すのではなく、「閉鎖・廃業」「事業転換」「アスベスト対策」といった目的から、使える制度を探すのがポイントです。それぞれの制度を順番に見ていきましょう。
| 場面 | 主な制度 | 解体費の扱い |
|---|---|---|
| 工場の閉鎖・廃業 | 事業承継・M&A補助金(廃業・再チャレンジ枠) | 既存事業の廃止にともなう建物・設備の解体費が対象 |
| 事業の転換 | 中小企業の新事業進出を支援する補助金 | 新事業のための建物改修とあわせた撤去費が対象になる場合がある |
| アスベスト対策 | 住宅・建築物アスベスト改修事業(自治体経由) | 吹付けアスベストの調査・除去の費用が対象 |
| その他 | 自治体独自の制度(空き建築物の除却、ブロック塀、耐震化など) | 自治体ごとに対象や条件が異なる |
工場の閉鎖・廃業で使える「事業承継・M&A補助金(廃業・再チャレンジ枠)」
どんな補助金か
工場の閉鎖や廃業にともなう解体で、もっとも使える可能性が高いのが、中小企業庁の「事業承継・M&A補助金」の中にある「廃業・再チャレンジ枠」です。事業承継やM&Aにあわせて、既存の事業を廃業する中小企業・小規模事業者を支援するための補助金で、廃業にかかるさまざまな費用の一部が補助されます。
この枠の大きな特徴は、補助の対象となる経費に「解体費」が含まれていることです。既存事業の廃止にともなう建物や設備の解体費用が対象となるため、工場の閉鎖にあわせて建物や設備を解体する場合に活用できる可能性があります。
補助率・補助額と対象になる経費
2026年10月時点で公募されている16次公募では、廃業・再チャレンジ枠を単独で申請する場合、補助率は補助対象経費の3分の2以内、補助額の上限は300万円、下限は50万円とされています。補助額の下限があるため、補助対象経費が75万円に満たない場合は申請できません。
補助の対象になる主な経費は、次のとおりです。
| 経費 | 内容 |
|---|---|
| 解体費 | 既存事業の廃止にともなう建物や設備などの解体費用 |
| 原状回復費 | 借りていた建物や設備などを返すときに必要な原状回復の費用 |
| 在庫廃棄費 | 既存の商品在庫を専門業者に依頼して処分する費用 |
| リースの解約費 | リース契約の解約にともなう解約金や違約金 |
| 土壌汚染調査費 | 土地の汚染の状況を調べるための調査費用(汚染対策の工事費は対象外) |
| 廃業支援費 | 廃業の登記にかかる司法書士への費用や、解散・清算の会計・税務の専門家費用 |
工場の閉鎖では、建物の解体だけでなく、借りている工場の原状回復、在庫の処分、機械のリースの解約、土地を売る前の土壌汚染調査など、さまざまな費用が発生します。これらをまとめて補助の対象にできる点が、この枠の使いやすいところです。
申請できる人の条件
ただし、この補助金は、工場を閉じるすべての会社が使えるわけではありません。廃業・再チャレンジ枠を単独で申請する場合は、2020年以降にM&Aに着手したものの成約に至らなかったこと、つまり「会社や事業を誰かに引き継ごうとしたが、うまくいかなかった」ことが条件になっています。
M&Aに着手したことは、事業承継・引継ぎ支援センターへの相談、M&Aの支援機関との契約、M&Aのマッチングサイトへの登録などで示します。さらに、認定経営革新等支援機関の確認を受けることや、廃業したあとに新しい事業や就職などに再チャレンジする計画を立てることも求められます。
また、事業の一部を他社に引き継ぐ、あるいは他社の事業を引き継ぐといった事業承継・M&Aの補助金とあわせて申請する「併用申請」という方法もあります。併用申請では、会社全体の廃業だけでなく、一部の事業から撤退する場合の費用も対象になります。たとえば、事業の一部を売却し、使わなくなった工場を解体するといった場面で、検討の余地があります。
この補助金を使うときの注意点
この補助金でもっとも注意したいのは、補助の対象になるのが、交付決定を受けたあとに契約・発注し、支払いまで終えた費用に限られることです。交付決定の前に解体業者と契約してしまうと、その費用は補助の対象になりません。見積もりを取ること自体は事前にできますが、契約は交付決定を待つ必要があります。
そのほかにも、50万円以上の支払いは原則として2社以上から相見積もりを取り、もっとも安い業者を選ぶこと、支払いは銀行振込などに限られること、補助金はあとから支払われる精算払いのため、いったん費用を立て替える必要があることなど、細かなルールがあります。
公募は年に数回、期間を区切って行われます。公募の時期、交付決定までの期間、補助事業の期間が決まっているため、工場の閉鎖や解体のスケジュールを、補助金のスケジュールにあわせて組む必要があります。M&Aや廃業を考えはじめた段階で、早めに専門家や支援機関に相談しておくと安心です。廃業や事業承継のときの機械資産の扱いについては、機械買取センターのコラム廃業する製造業の増加——M&A・第三者承継で機械資産をどう扱うかも参考になります。
事業の転換で使える補助金
新しい事業のための建物の改修とあわせて
工場を閉じるのではなく、新しい事業に転換するために、古い工場や倉庫に手を入れるという場合もあるでしょう。たとえば、これまでの製造ラインを撤去して、新しい分野の工場に改修する、倉庫の一部を取り壊して新しい設備を入れる、といったケースです。
中小企業の新しい事業への進出を支援する国の補助金では、新しい事業に必要な建物の改修などにかかる「建物費」が補助の対象になります。その中で、補助事業のために必要な古い建物の撤去にかかる費用が、建物費の一部として認められる場合があります。
撤去だけでは対象にならない
ただし、この補助金の目的は、あくまで新しい事業への挑戦を支援することです。単に古い建物を取り壊すだけでは対象にならず、新しい事業の計画と、その事業のための建物の改修などとセットで認められるものです。また、建物の新築は原則として対象外とされるなど、建物費には細かなルールがあります。
こうした中小企業向けの補助金は、制度の名称や枠組み、対象経費が年度ごとに見直されることがあります。事業転換を考えている場合は、最新の公募要領で、建物の撤去費がどのような条件で対象になるのかを確認しましょう。
アスベストの調査・除去で使える補助金
住宅・建築物アスベスト改修事業
古い工場や倉庫の解体で、費用を大きく押し上げる要因のひとつがアスベストです。国土交通省の「住宅・建築物アスベスト改修事業」では、民間の建物に使われているアスベストについて、調査や除去にかかる費用を補助する制度が設けられています。
アスベストが含まれているかどうかを調べる調査では、国の補助の上限は原則として1棟あたり25万円です。除去などの工事では、自治体が補助する額の2分の1以内、かつ工事費全体の3分の1以内を、国が補助する仕組みになっています。建物を解体する場合は、アスベストの除去にかかる部分だけが補助の対象です。
対象は吹付けアスベストなどに限られる
この制度で注意したいのは、対象が「吹付けアスベスト」と「アスベストを含む吹付けロックウール」に限られていることです。工場や倉庫に多いスレートの屋根や外壁など、成形板と呼ばれる建材は対象になりません。
また、この補助金は自治体を通じて交付されるため、工場がある自治体に補助制度がなければ利用できません。補助の内容や上限額も自治体によって違います。アスベストの調査を始める前に、自治体の建築や環境の担当窓口に問い合わせ、制度があるか、対象になるかを確認しておきましょう。アスベストの調査の流れや費用については、工場のアスベスト調査とは?で詳しく解説しています。
自治体の補助制度も確認しよう
国の制度のほかに、自治体が独自に設けている補助制度の中にも、工場や倉庫で使えるものがある場合があります。ここでは、確認しておきたい代表的な制度を紹介します。
空き建築物の除却への補助
自治体の解体補助は住宅向けが中心ですが、国の空き家対策の事業では、住宅以外の「空き建築物」も対象に含まれています。自治体によっては、使われなくなった店舗や事務所、倉庫などの除却を補助の対象にしていることがあります。ただし、地域の空き家対策の計画にもとづく制度であるため、対象となる区域や建物の条件が細かく決められています。
ブロック塀の撤去や耐震化への補助
道路に面した古いブロック塀の撤去に補助を出している自治体は多く、工場や倉庫の敷地にある塀も対象になる場合があります。また、地震のときに倒れると道路をふさぐおそれのある建物について、耐震化の一環として、建物の除却を補助の対象にしている自治体もあります。
工場の移転や跡地の活用への支援
自治体の中には、工場の移転や、跡地を地域のために活用する取り組みを支援しているところもあります。工場を別の場所に移す場合や、跡地を売却・活用する場合は、工場がある自治体の産業振興や企業立地の担当窓口にも、使える制度がないか問い合わせてみるとよいでしょう。
自治体の制度は、名前も内容も地域によってさまざまです。「解体」という言葉で探すだけでなく、「空き建築物」「ブロック塀」「耐震」「企業立地」など、目的にあわせて調べるのがコツです。
補助金を使うときの注意点
契約の前に申請する
補助金で多い失敗が、解体業者と契約したり、工事を始めたりしたあとで補助金の存在に気づくことです。ほとんどの補助金は、申請して交付の決定を受ける前に契約・着工した費用を、補助の対象にしません。補助金を使うかもしれない場合は、解体業者と契約する前に、制度の条件と申請の時期を確認しておくことが大切です。
スケジュールに余裕を持つ
補助金には、公募の期間、審査、交付決定、工事、実績の報告、補助金の受け取りと、いくつもの段階があります。申請から補助金を受け取るまでに、数か月から1年以上かかることも珍しくありません。工場の明け渡し日や土地の売却日など、動かせない期限がある場合は、補助金のスケジュールに間に合うかを先に確認しましょう。
補助金を待つために解体の時期を遅らせると、その間の固定資産税や維持費がかかり続けることもあります。補助金の額と、待つことによるコストを比べて、使うかどうかを判断することも必要です。
見積書や書類をきちんとそろえる
補助金の申請や実績の報告では、見積書、契約書、請求書、支払いの記録、工事の写真など、多くの書類が必要になります。相見積もりが求められる補助金もあります。解体業者を選ぶときは、補助金の申請に必要な書類をきちんと出してもらえるかも確認しておきましょう。見積書の項目が「一式」ばかりだと、補助の対象になる部分とならない部分を分けられず、申請で困ることがあります。
補助金だけに頼らない
ここまで見てきたように、工場や倉庫の解体で使える補助金は、条件が限られていて、補助されるのも費用の一部です。補助金を使えたとしても、解体費用の大部分は自分で負担することになります。補助金はあくまで「使えたら助かるもの」と考え、ほかの方法とあわせて費用を抑えることが大切です。
補助金以外で解体費用の負担を軽くする方法
機械や残置物を売却して、費用にあてる
補助金よりも確実で、金額も大きくなりやすいのが、工場の中にある機械や設備、工具、金属くずなどを、解体の前に売却することです。解体業者にまとめて処分を任せると、まだ使える機械もスクラップとして扱われがちですが、中古機械として買い取ってもらえれば、その売却益を解体費用にあてることができます。
補助金は、申請しても採択されるとは限らず、受け取れるのも工事が終わったあとです。一方、機械の売却は、査定を受ければすぐに金額がわかり、解体の前に現金化できます。補助金を検討するのと並行して、まず機械や残置物の査定を受けておくのがおすすめです。残置物の片付け方は工場の残置物処分の方法と費用で、機械の売却については工場の機械は解体前に売却をで詳しく解説しています。
工場に残った機械の買取
工場の機械は「機械買取センター」が査定・買取します
倉庫・工場解体センターの運営会社Ekuipp株式会社は、中古工作機械の買取専門サイト「機械買取センター」を運営しています。NC旋盤、マシニングセンター、フライス盤、研削盤、プレス機、板金機械、射出成形機などを、古い機械や動かない機械も含めて査定します。搬出もこちらで手配しますので、解体の前に機械を片付けたい方は、まず査定をご依頼ください。
税金の面での負担を軽くする
建物の解体費用や、使わなくなった機械を廃棄したときの損失は、会社の経費や損失として処理できる場合があります。いつ、どのように処理するかによって、税金の負担が変わることもあります。機械を廃棄するときの会計処理のタイミングについては、機械買取センターのコラム機械の「除却損」で節税で解説しています。具体的な処理は、顧問の税理士に相談しましょう。
解体の見積もりを比べ、費用の中身を確認する
同じ工場の解体でも、業者によって見積もりの金額は大きく変わります。複数の業者から見積もりを取り、どこまでの作業が含まれているのか、追加費用の条件はどうなっているのかを比べることが、費用を抑える基本です。費用を抑えるための具体的な方法は、解体費用を安くする7つの方法でまとめています。
工場・倉庫の解体の補助金に関するよくある質問
Q. 自治体の空き家解体の補助金は、工場にも使えますか?
多くの自治体の空き家解体の補助金は、住宅や、住宅と店舗を兼ねた建物を対象にしているため、工場や倉庫は対象外になることが一般的です。ただし、自治体によっては、使われていない建物全般を対象にしている場合もあります。工場がある自治体の窓口に、建物の用途を伝えて確認してみましょう。
Q. 解体工事を始めたあとからでも、補助金を申請できますか?
ほとんどの補助金は、交付の決定を受ける前に契約や着工をした費用を、補助の対象にしません。工事を始めてからでは間に合わないことが多いため、補助金を使う可能性がある場合は、解体業者と契約する前に申請の準備を進めてください。
Q. 補助金の申請は、誰に相談すればいいですか?
国の中小企業向けの補助金は、商工会議所や商工会、認定経営革新等支援機関、事業承継・引継ぎ支援センターなどに相談できます。自治体の補助金は、自治体の担当窓口が相談先です。申請書類の作成を有償で代行できるのは行政書士に限られるなど、依頼先にもルールがあるため、注意しましょう。
Q. 補助金を使う場合、解体業者は自分で探す必要がありますか?
補助金によっては、相見積もりを取って業者を選ぶことが求められます。倉庫・工場解体センターでは、工場・倉庫の解体に慣れた業者をご紹介しています。補助金の申請に必要な見積書の形式などもふまえて、業者選びをお手伝いできますので、お気軽にご相談ください。
まとめ:補助金は目的から探し、売却益とあわせて費用を抑える
工場・倉庫の解体で使える補助金のポイントをおさらいします。
- 自治体の解体補助金は住宅向けが中心で、工場や倉庫は対象外のことが多い
- 工場の閉鎖・廃業では、事業承継・M&A補助金の廃業・再チャレンジ枠で解体費が対象になる(M&Aの不成約などの条件あり)
- 事業転換では、新しい事業のための建物改修とあわせた撤去費が対象になる場合がある
- アスベストは、吹付けアスベストの調査・除去が自治体経由の補助の対象になる
- 自治体の空き建築物の除却、ブロック塀、耐震化などの制度も確認する
- ほとんどの補助金は、交付決定の前に契約・着工した費用は対象外
- 補助金だけに頼らず、機械や残置物の売却益で解体費用の負担を軽くする
工場や倉庫の解体の補助金は、「解体」という言葉だけで探しても見つかりにくいものです。閉鎖・廃業、事業転換、アスベスト対策など、解体の目的にあわせて探し、契約の前に条件を確認することが、補助金を上手に使うための近道です。
倉庫・工場解体センターでは、工場内の機械・残置物の買取と、工場の解体に慣れた業者のご紹介を、ひとつの窓口でお手伝いしています。工場の機械は機械買取センターが査定・買取しますので、補助金の検討とあわせて、まずは無料査定で機械の価値を確かめてみてください。解体のご相談は無料ですので、無料相談フォームからお気軽にお問い合わせください。
解体のご相談はこちら


