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工場解体にかかる期間は?工程ごとの日数と遅れやすい原因

解体中の鉄骨造の工場を前に、工程表で解体のスケジュールを確認する担当者
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工場や倉庫を解体すると決めたとき、費用と同じくらい気になるのが「どれくらいの期間がかかるのか」ということではないでしょうか。建物の明け渡しの期限、土地の売却の引き渡し日、新しい工場の着工日など、解体のあとに予定が控えていることが多いからです。

工場の解体で注意したいのは、重機で建物を壊している期間は、全体のごく一部にすぎないということです。その前には、解体業者選び、アスベストの事前調査、機械や残置物の搬出、電気やガスの停止、さまざまな届出があります。解体のあとにも、基礎の撤去や整地、登記の手続きが続きます。「解体工事は1か月」と聞いて安心していたら、準備に何か月もかかった、ということは珍しくありません。

この記事では、工場の解体を決めてから更地になるまでの全体の期間、工程ごとの日数の目安、解体が遅れやすい原因、そして期間を短くするための段取りを、工場・倉庫のオーナーの立場から解説します。途中では、機械の搬出の当日に、予定になかった油抜きの作業を大量の機械で行うことになった、私たちの実際の経験もご紹介します。

なお、工場の解体にかかる期間は、建物の規模や構造、中に残っている物の量、アスベストの有無、立地などによって大きく変わります。この記事の日数は、全体の流れをつかむための目安として読み、実際の工程は解体業者と相談して決めてください。

工場の解体にかかる期間の全体像

決めてから更地になるまで、数か月はかかる

工場の解体は、「解体すると決めた日」から「更地になる日」まで、少なくとも数か月を見込んでおくのが安全です。中規模の工場であれば、準備に2〜3か月、工事に1〜2か月、あわせて3〜6か月程度を一つの目安と考えるとよいでしょう。大規模な工場や、機械や設備が多い工場、アスベストの除去が必要な工場では、半年以上かかることもあります。

期間が長くなる理由は、工程の多くが「前の工程が終わらないと始められない」関係にあるからです。たとえば、機械を搬出しないと建物の中を確認できず、確認できないとアスベストの調査や正確な見積もりができず、調査の結果が出ないと届出や工事の計画が立てられません。一つの工程が遅れると、そのあとの工程がすべて後ろにずれていきます。

建物の規模や構造で、期間はどう変わるか

工事の期間にもっとも大きく影響するのは、建物の規模と構造です。同じ面積でも、木造の倉庫と鉄筋コンクリート造の工場では、壊すのにかかる手間がまったく違います。鉄骨造の工場は、屋根や外壁を外したあとに鉄骨を切断して運び出す作業があり、鉄筋コンクリート造は、厚いコンクリートを細かく砕く必要があるため、さらに時間がかかります。

建物の高さも影響します。天井の高い工場や倉庫は、足場を組む面積が大きく、高い位置での作業も増えます。敷地に余裕がなく、重機やトラックを置く場所が限られる場合は、一度に進められる作業の量が減り、日数が延びます。逆に、敷地が広く、大型の重機を入れられる現場では、作業を効率よく進められます。こうした条件は現地を見ないと判断できないため、業者には工程表もあわせて出してもらいましょう。

工程ごとの期間の目安

工場の解体の主な工程と、期間の目安を整理すると、次のようになります。いくつかの工程は並行して進められますので、合計がそのまま全体の期間になるわけではありません。

工程期間の目安ポイント
解体業者の選定・見積もり2週間〜1か月現地調査を含め、複数社を比べる
アスベストの事前調査数日〜数週間分析が必要なら日数が延びる
機械・残置物の搬出数週間〜数か月査定、買い手探し、搬出の日程調整
電気・ガス・水道の停止、設備の撤去数週間高圧受電の工場は早めに連絡
届出・近隣へのあいさつ着工の1〜2週間前まで届出には法律で決まった期限がある
アスベストの除去数週間〜レベル1・2は届出と隔離作業が必要
建物本体の解体数週間〜数か月構造・規模・立地で大きく変わる
基礎・土間・ピットの撤去、整地1週間〜数週間機械基礎が多いと長くなる
解体後の手続き1か月以内建物滅失登記など

工程ごとの日数と、時間がかかる理由

1. 解体業者の選定・見積もり(2週間〜1か月)

まずは解体業者を探し、現地を見てもらって見積もりを取ります。工場の解体は現地を見ないと正確な見積もりが出せないため、業者ごとに現地調査の日程を組む必要があります。複数の業者に依頼すれば、それだけ日程の調整に時間がかかります。

見積もりが出たら、内容を比べ、わからない点を質問し、条件をすり合わせてから契約します。ここを急いで、内容をよく確認しないまま契約してしまうと、工事が始まってから追加費用や工程の変更が発生し、かえって全体が遅れることになります。見積書の比べ方は解体の見積書の見方で解説しています。

2. アスベストの事前調査(数日〜数週間)

解体の前には、工事の規模にかかわらず、アスベストの事前調査が必要です。設計図書などの書面による調査と、現地での目視の調査は、建物の規模にもよりますが数日程度で終わることが多いでしょう。しかし、書面と目視で判断できない建材があれば、試料を採取して分析に回すため、結果が出るまでさらに日数がかかります。

調査の結果、アスベストが見つかれば、除去の計画と届出が必要になり、工程全体が延びます。調査は解体の工程の中でも早めに済ませておきたい作業です。詳しくは工場のアスベスト調査とは?をご覧ください。

3. 機械・残置物の搬出(数週間〜数か月)

工場ならではの工程が、機械や残置物の搬出です。ここは、工場の解体の中でも期間の読みにくい工程です。売れる機械は買取業者に査定してもらい、金額を決め、搬出の日程を組みます。大型の機械は、分解やクレーンでのつり上げ、大型トラックの手配が必要で、1台を出すだけで丸一日かかることもあります。台数が多ければ、搬出だけで数週間に及びます。

売れない物は、産業廃棄物として処分の業者に依頼し、業務用エアコンのフロン回収や、油・薬品の処理など、個別の手続きが必要な物はそれぞれに対応します。残置物が多い工場ほど、この工程は長くなります。残置物の片付け方は工場の残置物処分の方法と費用で詳しく解説しています。

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4. 電気・ガス・水道の停止と設備の撤去(数週間)

解体の前には、電気、ガス、水道などを止め、引き込みの設備を撤去してもらう必要があります。特に、高圧で電気を受けている工場では、電力会社への連絡に加えて、受変電設備を管理している電気主任技術者や電気工事業者との調整が必要です。受電設備を廃止したときは、所管の産業保安監督部への報告も必要になります。

注意したいのは、電気を止める時期です。機械の搬出にはクレーンなどの動力が必要なことが多いため、電気を先に止めてしまうと搬出ができなくなります。「機械を出してから電気を止める」という順番を守り、それぞれの連絡は数週間の余裕を持って行いましょう。

5. 届出・近隣へのあいさつ(着工の1〜2週間前まで)

解体工事には、法律で期限が決まった届出がいくつもあります。床面積80平方メートル以上の建物の解体は、建設リサイクル法にもとづき、工事に着手する7日前までに届け出る必要があります。吹付けアスベストや、アスベストを含む保温材などの除去を伴う工事では、作業を始める14日前までに、発注者が自治体へ届け出なければなりません。アスベストの事前調査の結果も、着工の前に報告が必要です。

道路に重機やトラックを止める場合は、警察署への道路使用の許可も必要です。近隣へのあいさつは、工事の1週間から10日ほど前に行うのが一般的です。届出の期限から逆算すると、遅くとも着工の2週間以上前には、工事の内容と日程を固めておく必要があります。届出の全体像は工場解体の前に必要な届出・手続き一覧にまとめています。

6. アスベストの除去(数週間〜)

アスベストが見つかった場合は、建物を壊す前に除去の作業を行います。レベル1やレベル2の建材では、届出の期限に加えて、作業場をシートで覆って隔離し、除去が終わったあとに取り残しがないかを資格者が確認するまで、隔離を解くことができません。除去する面積にもよりますが、数週間以上かかることもあります。

スレート屋根や外壁などのレベル3の建材も、割らないように手作業で取り外す必要があるため、重機で一気に壊す場合に比べて日数がかかります。工場や倉庫は屋根や外壁の面積が広いため、この作業だけで想定以上の日数になることがあります。

7. 建物本体の解体(数週間〜数か月)

いよいよ重機で建物を壊す工程です。足場や養生シートを設置し、内装、屋根、外壁、骨組みの順に解体していきます。期間は、建物の構造と規模によって大きく変わります。一般に、木造より鉄骨造、鉄骨造より鉄筋コンクリート造のほうが時間がかかり、面積が大きいほど長くなります。

解体で出た廃材は、木くず、コンクリートがら、金属くずなど種類ごとに分けながら運び出します。分別しながら壊すため、ただ壊すだけの場合より時間はかかりますが、これは法律で求められている作業です。住宅地に近い工場では、作業できる時間帯が限られたり、騒音や振動を抑えるために作業の方法を変えたりして、日数が延びることもあります。

8. 基礎・土間・ピットの撤去と整地(1週間〜数週間)

建物を壊したあとは、基礎や土間コンクリートを撤去し、地面を平らにならします。工場では、機械を支えていた厚い基礎や、床を掘り下げたピットがあり、この工程に思いのほか時間がかかることがあります。ピットは壊したあとに埋め戻しも必要です。

地中から、図面にない古い基礎や配管、廃材などが出てくることもあります。こうした地中障害物が見つかると、撤去の方法と費用を発注者と相談するため、作業がいったん止まることがあります。機械基礎やピットについては機械基礎・ピットの撤去費用と注意点で解説しています。

9. 解体後の手続き(1か月以内)

工事が終わったら、まず発注者が現地で仕上がりを確認します。基礎やピットがきちんと撤去されているか、整地の状態はどうか、敷地の境界のブロックや隣地との境目に問題がないかを見ておきましょう。気になる点があれば、業者がまだ現場を引き上げる前に伝えるのが確実です。

建物を解体したら、1か月以内に法務局で建物の滅失登記を申請する必要があります。登記には、解体業者が発行する取り壊しの証明書などが必要になるため、工事が終わったら早めに書類を受け取りましょう。土地を売却する場合は、売買の手続きともあわせて進めます。

工場の解体が遅れやすい7つの原因

工場の解体は、思わぬところで予定が遅れがちです。よくある原因と、その対策を見ていきましょう。

1. アスベストが見つかる

もっとも工期に影響しやすいのが、アスベストです。調査の結果、レベル1やレベル2の建材が見つかると、届出の期限だけで少なくとも2週間、さらに除去の作業の日数が加わります。調査が遅れると、その分だけ解体全体が後ろにずれるため、調査はできるだけ早く始めることが大切です。

2. 機械の搬出が予定どおりに進まない

機械の買い手が決まらない、搬出の日程が合わない、搬出の当日になってリース品だとわかり運び出せない、といった理由で、機械の搬出が遅れることがあります。機械が残っている限り解体には入れないため、搬出の遅れはそのまま解体の遅れになります。リース品かどうかは、契約書や台帳で事前に確認しておきましょう。

現場の実例|機械の搬出の当日に

「機械油を抜いておいて」とお願いしていたのに、当日に大量の機械の油抜きをすることになったケース

機械の搬出の前に、お客様に「機械油を抜いておいてください」とお願いしていました。ところが当日に伺うと、「できなかった」とのことでした。

その日は、大量のドラム缶を用意し、たくさんの機械から一台ずつ機械油を抜いていく作業から始めることになりました。

この事例からわかること:機械油を抜く作業は、機械の台数が多いほど時間と手間がかかり、油を入れる容器も必要です。搬出の当日にこの作業が残っていると、その分だけ搬出に使える時間が減ります。油抜きを誰が、いつまでに行うのかを事前に決め、難しそうなら早めに相談しておくと、当日の段取りが崩れずに済みます。

3. 地中から想定外の物が出てくる

古い工場では、以前の建物の基礎や、使われなくなった配管、埋められた廃材などが地中から見つかることがあります。撤去の方法と費用を決めるまで作業が止まり、撤去そのものにも日数がかかります。過去の建物の図面や、増築・改修の記録が残っていれば、事前に業者に渡しておきましょう。

4. 天候

雨や強風の日は、粉じんや安全の面から作業を止めることがあります。梅雨や台風の時期、雪の多い地域の冬は、予定より日数がかかりやすくなります。工期には、天候による予備日を見込んでおくと安心です。

5. 近隣からの苦情や作業時間の制限

騒音、振動、粉じんについて近隣から苦情が入ると、作業の時間帯を短くしたり、作業の方法を変えたりする必要があり、工期が延びます。事前のあいさつと丁寧な説明で、トラブルを防ぐことが工期を守ることにもつながります。詳しくは解体工事の近隣トラブルを防ぐにはをご覧ください。

6. 届出や手続きの不備

届出の書類に不備があったり、提出が期限に間に合わなかったりすると、その分だけ着工が遅れます。発注者が出す必要のある届出もあるため、どの届出を誰がいつまでに出すのかを、業者と一緒に確認しておきましょう。

7. 図面や資料がない

古い工場では、建物の図面や設備の資料が残っていないことがよくあります。資料がないと、アスベストの調査や見積もりに時間がかかり、工事中に想定外の構造が見つかることも増えます。社内や、建物を建てた会社、管理会社などに資料が残っていないか、早めに探しておきましょう。

工場の解体の期間を短くする段取り

期限から逆算してスケジュールを組む

明け渡し日や土地の引き渡し日など、動かせない期限がある場合は、そこから逆算してスケジュールを組みましょう。下は、期限の6か月前から準備を始める場合のスケジュールの例です。

時期やること
6か月前解体の方針を決める。機械の査定を依頼する。図面や資料を集める
5か月前解体業者に概算の見積もりを依頼する。アスベストの事前調査を始める
4か月前機械の売却先を決め、搬出の日程を組む。リース品を確認する
3か月前機械・残置物の搬出。電気・ガスなどの停止の段取り
2か月前空の工場で正式な見積もりを取り、解体業者と契約する
1か月前届出、道路使用の許可、近隣へのあいさつ
着工〜期限解体工事、基礎の撤去、整地。終了後に滅失登記

これは中規模の工場を想定した一例です。機械が多い工場や、アスベストの除去が必要な工場では、さらに前倒しで動き出す必要があります。

機械の搬出を先に進める

期間を短くするうえでもっとも効果的なのは、機械や残置物の搬出を早く始めることです。工場の中が空になれば、アスベストの調査も、解体の正確な見積もりも、すぐに進められます。機械の査定は、解体業者を探すのと同時に依頼しておきましょう。売れる機械を先に売却すれば、その売却益で解体費用の負担を軽くすることもできます。

並行して進められる工程は同時に進める

すべての工程を一つずつ順番に進める必要はありません。たとえば、機械の査定と解体業者の見積もり依頼、アスベストの書面調査と図面集めなどは、同時に進められます。電気やガスの停止の連絡も、搬出の日程が決まった段階で早めに入れておくと、待ち時間を減らせます。

業者が混み合う時期を考える

解体業者の繁忙期は、地域や業者によって違いますが、年度末にかけては工事が集中しやすいと言われます。希望の時期に工事を始めたいなら、業者の予定が埋まる前に、早めに相談しておくことが大切です。早めに相談すれば、業者のほうも人員や重機の手配に余裕を持てるため、工程が安定しやすくなります。

窓口をまとめる

機械の買取業者、解体業者、電気工事業者、調査会社など、関わる業者が多いほど、日程の調整に時間がかかります。誰がどの作業をいつまでに行うのかを一覧にし、連絡の窓口をまとめておくと、工程の抜けや待ち時間を防げます。

工場の解体期間に関するよくある質問

Q. 工場を稼働させながら、解体の準備を進められますか?

はい。機械の査定、解体業者の見積もり、アスベストの書面調査、図面集めなどは、工場を稼働させながらでも進められます。閉鎖の時期が決まっているなら、稼働中から準備を始めておくと、閉鎖後の期間を大きく短縮できます。

Q. 解体はいつごろに終わらせるのがいいですか?

税金の面では、固定資産税が毎年1月1日時点の状況で課税されることを知っておくとよいでしょう。1月1日時点で建物が残っていれば、その年度は建物にも固定資産税がかかります。土地の売却や活用の予定もふまえて、税理士にも相談しながら時期を考えましょう。

Q. 解体の期間中、何か立ち会う必要はありますか?

毎日立ち会う必要はありませんが、着工前の打ち合わせ、近隣へのあいさつ、地中障害物など想定外の物が出てきたときの確認、工事完了時の確認などには、立ち会いや判断を求められることがあります。連絡がつきやすい担当者を決めておきましょう。

まとめ:工場の解体期間は「準備」で決まる

工場の解体期間のポイントをおさらいします。

  • 解体を決めてから更地になるまで、中規模の工場で3〜6か月程度が目安。規模や条件で半年以上になることもある
  • 重機で壊す期間は全体の一部。業者選び、アスベスト調査、機械の搬出などの準備に時間がかかる
  • 建設リサイクル法の届出は着工の7日前まで、アスベスト除去の作業の届出は14日前までなど、期限のある手続きがある
  • アスベスト、機械の搬出、地中障害物、天候、近隣対応などで工期は延びやすい
  • 期限から逆算し、機械の搬出を先に進め、並行できる工程は同時に進める

工場の解体は、準備の進め方しだいで期間が大きく変わります。特に、機械や残置物の搬出を早く始めることが、工程全体を前に進める鍵になります。解体費用を抑える方法は解体費用を安くする7つの方法でも紹介しています。

倉庫・工場解体センターでは、工場内の機械・残置物の買取と、工場の解体に慣れた業者のご紹介を、ひとつの窓口でお手伝いしています。機械の搬出から解体までの日程も、まとめてご相談いただけます。工場の機械は機械買取センターが査定・買取しますので、まずは無料査定をご利用ください。解体のご相談は無料ですので、無料相談フォームからお気軽にお問い合わせください。

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