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工場のアスベスト調査とは?義務・費用・流れと解体への影響

工場の壁の断熱材を調べ、アスベスト分析用の試料を採取する調査者
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工場や倉庫の解体を考えはじめると、早い段階で必ず出てくるのが「アスベスト(石綿)の調査」です。建物を壊す前、あるいは一部を改修する前には、工事の規模にかかわらず、アスベストが使われているかどうかを調べることが法律で義務づけられています。

特に、古い工場や倉庫では、屋根や外壁のスレート、鉄骨に吹き付けられた耐火被覆、配管やボイラーの保温材など、アスベストを含む建材が使われている可能性が高くなります。調査の結果によっては、除去のための届出や作業が必要になり、解体の費用や工期が大きく変わることも珍しくありません。

一方で、「調査は解体業者がやるものだから、工場の側は何もしなくていい」と考えている方も少なくありません。実際には、工場のオーナーである発注者にも、図面などの情報を提供すること、調査の費用を負担すること、場合によっては自治体に届出をすることなど、守らなければならない義務があります。

この記事では、工場のアスベスト調査とは何か、どんな義務があるのか、調査の流れと費用の目安、そして解体の工期や費用にどう影響するのかを、工場・倉庫のオーナーの立場からわかりやすく解説します。2026年1月から対象が広がった、ボイラーや炉、配管などの設備の調査についても取り上げます。途中では、機械を搬出したあとに、それまで隠れていた壁や配管、保温材が出てきたという、私たちの実際の経験もご紹介します。

なお、法令の内容は改正されることがあり、届出の窓口や細かな運用は自治体によって異なります。実際の工事にあたっては、この記事を全体像をつかむための参考とし、調査会社や解体業者、自治体の窓口に最新の内容を確認してください。

工場のアスベスト調査(事前調査)とは

解体・改修の前に必ず行う「事前調査」

アスベスト調査とは、建物や設備を解体・改修する前に、工事の対象となる部分にアスベストを含む建材が使われているかどうかを調べることです。法律では「事前調査」と呼ばれています。

アスベストは、熱や摩擦に強く、安価だったことから、かつては建材や工業製品に幅広く使われていました。しかし、細い繊維を吸い込むと、長い年月を経て肺がんや中皮腫などの重い病気を引き起こすことがわかり、段階的に規制が強化されました。現在は、2006年9月から、アスベストを含む製品の製造や使用が原則として禁止されています。

問題になるのは、禁止される前に建てられた建物です。アスベストを含む建材は、そのままの状態であれば、すぐに繊維が飛び散るわけではありません。ところが、解体や改修で建材を壊したり削ったりすると、繊維が空気中に飛び散り、作業をする人や近隣の住民が吸い込むおそれがあります。そのため、壊す前に、どこにアスベストがあるのかを調べておく必要があるのです。

工事の規模にかかわらず調査が必要

事前調査は、工事の大小にかかわらず必要です。建物全体を壊す解体工事だけでなく、壁の一部を壊す改修工事や、設備を取り外す工事でも、対象となる部分の材料を調べなければなりません。

後で説明するように、一定の規模を超える工事では、調査の結果を国に報告することも義務づけられています。ただし、報告が必要ない小さな工事であっても、調査そのものが免除されるわけではありません。「小さな工事だから調査はいらない」という判断は、法令違反につながるおそれがあります。

工場でアスベスト調査が特に重要な理由

工場や倉庫は、住宅に比べてアスベストを含む建材が使われている可能性が高い建物です。高度経済成長期から1990年代にかけて建てられた工場では、燃えにくく、断熱性や耐久性に優れたアスベスト含有建材が、屋根、外壁、天井、鉄骨の耐火被覆、配管の保温材など、さまざまな場所に使われていました。

さらに工場には、住宅にはない設備があります。ボイラーや熱処理の炉、乾燥炉、蒸気や温水の配管、煙突などは、熱に強いアスベストが使われやすかった代表的な場所です。建物の調査だけでなく、こうした設備の調査も必要になるため、住宅に比べて調査の範囲が広く、手間もかかりやすいのが工場の特徴です。

工場のどこにアスベストが使われているか

アスベストを含む建材は、飛び散りやすさ(発じん性)によって、一般にレベル1からレベル3までの3つに分けて呼ばれています。レベルによって、除去のときに必要な届出や作業の方法が変わり、費用や工期にも大きく影響します。工場でよく見られる例を整理すると、次のとおりです。

レベル主な建材工場でよく使われている場所
レベル1(発じん性が著しく高い)吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール鉄骨の柱・梁の耐火被覆、天井や壁の吸音・結露防止の吹付け
レベル2(発じん性が高い)石綿を含む保温材・断熱材・耐火被覆材ボイラーや配管の保温材、炉の断熱材、煙突の内側の断熱材、鉄骨の耐火被覆板
レベル3(発じん性が比較的低い)スレート板、けい酸カルシウム板、ビニル床タイル、仕上塗材など屋根・外壁の波形スレート、天井板、間仕切り壁、事務所の床、外壁の塗装

レベル1・レベル2:吹付け材や保温材

レベル1の吹付け石綿は、鉄骨造の工場や倉庫で、柱や梁を火災から守る耐火被覆として使われていることがあります。また、天井や壁に、吸音や結露防止のために吹き付けられていることもあります。綿のようにふわふわした見た目のものが多く、少し触れただけでも繊維が飛び散りやすいため、もっとも厳しい対策が必要です。

レベル2は、ボイラーや配管に巻かれた保温材、炉の断熱材、煙突の内側に張られた断熱材などです。工場の設備まわりに多く、建物を見ただけでは気づきにくいのが特徴です。レベル1とレベル2の建材を除去するときは、作業場を隔離するなどの厳しい対策と、事前の届出が必要になります。

レベル3:スレート屋根や外壁、床材など

レベル3は、セメントなどでアスベストを固めた成形板が中心です。工場や倉庫でもっとも多く見られるのが、屋根や外壁に使われている波形のスレート板です。そのほか、天井板や間仕切り壁、事務所の床に張られたビニル床タイル、外壁の塗装(仕上塗材)などにも含まれていることがあります。

レベル3の建材は、そのままの状態では繊維が飛び散りにくいものの、割ったり砕いたりすると飛散するおそれがあります。そのため、解体するときは、できるだけ割らずに手作業で取り外す、水で湿らせながら作業するなどの対策が求められます。工場の屋根や外壁は面積が広いため、レベル3であっても、手作業での取り外しによって費用と日数がかさむことがあります。

建物だけでなく、ボイラーや炉などの設備も調査の対象

工場ならではの注意点が、設備の調査です。法令では、建物(建築物)とは別に、ボイラーや炉、配管、貯蔵設備などを「工作物」として扱っています。工作物を解体したり改修したりするときも、建物と同じように事前調査が必要です。

2026年1月1日以降に着工する工事からは、反応槽、加熱炉、ボイラー・圧力容器、配管設備、焼却設備、貯蔵設備、発電設備、変電・配電設備、煙突などの「特定工作物」の調査を、工作物石綿事前調査者などの資格を持つ人が行うことが義務になりました。工場の閉鎖や建て替えで、これらの設備を撤去する場合は、設備に詳しい有資格者に調査を依頼する必要があります。

アスベスト調査に関する主な義務

アスベストの事前調査は、労働者を守るための石綿障害予防規則(労働安全衛生法)と、周辺環境を守るための大気汚染防止法という、2つの法律で定められています。ここ数年で段階的に規制が強化されてきたため、まずは主な変更点を時系列で整理します。

時期主な内容
2021年4月〜工事の対象となるすべての材料について、設計図書などの書面と目視で調査することが明確化。調査結果の記録を3年間保存することが義務に
2022年4月〜一定規模以上の工事で、調査結果を電子システムで報告することが義務に
2023年10月〜建築物の事前調査は、講習を修了した有資格者(建築物石綿含有建材調査者など)が行うことが義務に
2026年1月〜ボイラーや炉、配管などの特定工作物の事前調査も、有資格者(工作物石綿事前調査者など)が行うことが義務に

調査を行うのは元請業者(有資格者)

事前調査を行う義務を負うのは、解体工事や改修工事を請け負う元請業者です。工場のオーナーが自分で工事をする場合(自主施工)は、オーナー自身が調査の義務を負います。

調査は、資格を持った人が行わなければなりません。建物については建築物石綿含有建材調査者、設備については工作物石綿事前調査者などが該当します。資格のない人が調査をすることは法令違反になるため、解体業者に依頼するときは、誰が調査を行うのか、その人がどの資格を持っているのかを確認しておくと安心です。解体業者が自社で調査をする場合もあれば、専門の調査会社に依頼する場合もあります。

工場のオーナー(発注者)にも義務がある

見落とされがちなのが、工事を発注する側の義務です。厚生労働省は、発注者が次のことを行うよう求めています。

  • 設計図書や建築確認申請の副本など、アスベストの有無を確認するのに役立つ情報を、施工業者に提供する
  • 事前調査の費用と、アスベストが見つかった場合の除去工事の費用を、適正に負担する
  • 施工業者が法令を守って調査・工事ができるよう、工期や作業方法などの発注条件に配慮する
  • 吹付け石綿や、石綿を含む保温材・断熱材・耐火被覆材の除去を伴う工事では、作業開始の14日前までに、自治体へ「特定粉じん排出等作業実施届出書」を提出する

特に最後の届出は、解体業者ではなく発注者が出すものと定められています。実務では解体業者が書類の作成を手伝ってくれることが多いものの、届出の義務を負うのは工場のオーナーです。また、レベル1・レベル2の除去工事では、元請業者も労働基準監督署へ14日前までに届出をします。発注者の届出は、これとは別に必要になります。

工期の面でも配慮が欠かせません。「早く更地にしたいから、調査はできるだけ短く」「この日までに必ず終わらせて」といった無理な条件をつけると、調査が不十分になったり、必要な対策が省かれたりするおそれがあります。アスベスト調査には一定の日数がかかることを前提に、余裕を持った計画を立てることが、結果として工事全体を円滑に進めることにつながります。

調査結果の報告が必要な工事

次のいずれかに当てはまる工事では、アスベストが見つかったかどうかにかかわらず、事前調査の結果を、工事を始める前に「石綿事前調査結果報告システム」で報告しなければなりません。報告は元請業者(または自主施工者)が行います。

  • 建物の解体工事で、解体する部分の床面積の合計が80平方メートル以上
  • 建物の改修工事で、請負代金の合計額が100万円以上(税込)
  • 特定工作物の解体・改修工事で、請負代金の合計額が100万円以上(税込)

工場や倉庫の解体であれば、ほとんどの場合、床面積80平方メートルを超えるため、報告の対象になると考えてよいでしょう。また、ボイラーや配管などの設備を撤去する工事も、請負代金が100万円以上であれば報告が必要です。

記録の保存と現場での掲示

事前調査の結果は記録として残し、3年間保存することが義務づけられています。また、調査の結果は、工事の現場の見やすい場所に掲示しなければなりません。アスベストを含む建材の除去などを行った場合は、作業の実施状況を写真などで記録し、これも3年間保存する必要があります。

発注者としては、工事が終わったあとに、事前調査の報告書や、除去工事を行った場合の作業記録の写しを受け取っておくと安心です。将来、土地を売却するときや、近隣から問い合わせがあったときに、適切に工事を行ったことを示す資料になります。

工場のアスベスト調査の流れ

事前調査は、大きく分けて「書面調査」「現地調査」「分析調査」の3つの段階で進みます。それぞれの段階で何をするのかを見ていきましょう。

1. 書面調査:図面や資料で確認する

まず、設計図書や仕様書、竣工図、過去の改修工事の記録などの資料から、どの部分にどんな建材が使われているかを確認します。建材の製品名やメーカーがわかれば、その製品にアスベストが含まれているかどうかを、国が公開しているデータベースなどで調べることができます。

ここで重要になるのが、建物の着工日です。設計図書などで着工日が2006年9月1日以降と確認できれば、原則としてアスベストは使われていないものとして扱うことができます。逆に、それより前に建てられた建物は、アスベストが使われている可能性があるとして、詳しく調べることになります。

ただし、工場の場合は注意が必要です。建物を建てたあとに増築や改修をくり返していることが多く、建物ごと、部分ごとに建てた時期が違うことがあります。また、設備の配管の接合部などに使う一部の製品は、例外として2006年9月以降もしばらくの間、製造や使用が認められていました。そのため、設備については、建物の着工日だけで判断できない場合があります。

古い工場では、図面が残っていない、あるいは図面と現状が違っていることも少なくありません。図面がない場合でも調査はできますが、現地での確認や分析に頼る部分が増え、費用と日数がかかりやすくなります。工場に残っている図面や過去の工事の書類は、捨てずにまとめておきましょう。

2. 現地調査:目で見て確認する

次に、調査者が工場に入り、書面調査の結果をもとに、実際に使われている建材を目で見て確認します。図面に載っていない改修の跡や、天井裏、壁の中、設備の裏側なども、できる限り確認します。

工場の現地調査で問題になりやすいのが、機械や設備、残置物です。大型の機械が壁際に置かれていたり、在庫や資材が山積みになっていたりすると、その裏にある壁や配管を確認できません。確認できなかった部分は、あとで追加の調査が必要になり、解体の段取りが遅れる原因になります。

3. 分析調査:試料を採取して分析する

書面調査と現地調査で、アスベストが含まれているかどうかが判断できなかった建材は、一部を試料として採取し、専門の分析機関で分析します。分析には、アスベストが含まれているかどうかを調べる「定性分析」と、どれくらい含まれているかを調べる「定量分析」があります。

分析をせずに、アスベストが含まれているものと「みなして」、除去の対策をとることも認められています。分析の費用と日数を省ける一方で、実際には含まれていない建材まで、アスベストとして扱うことになります。その分、除去や処分の費用が高くなるおそれがあるため、どちらがよいかは、建材の量や工期をふまえて、調査者と相談して決めるのが一般的です。

4. 結果の説明・報告・掲示

調査が終わると、元請業者は調査の結果を書面にまとめ、発注者に説明します。どの部分にアスベストがあるのか、どのレベルなのか、除去のためにどんな作業や届出が必要になるのかを、ここでしっかり確認しておきましょう。そのうえで、報告が必要な工事であれば電子システムで報告し、工事の現場に結果を掲示します。

工場のアスベスト調査にかかる費用

アスベスト調査の費用は、建物の大きさや構造、調べる建材の数、分析する試料の数によって大きく変わります。国が公表している調査費用の相場はなく、ここで紹介するのは、民間の分析機関が公開している情報をもとにした目安です。

項目費用の目安(税抜)
書面調査2万〜5万円前後
現地調査(目視)2万〜5万円前後
定性分析(1検体あたり)1万〜5万円程度
定量分析(1検体あたり)3万〜5万円前後
報告書の作成1万〜5万円前後
工場などの大規模な建物の調査50万〜100万円以上

住宅であれば、事前調査全体で数万円から十数万円程度に収まることが多いとされています。一方、工場や病院、学校などの大規模な建物では、20検体以上の分析が必要になることもあり、調査全体で50万円から100万円を超えることもあります。

工場の調査費用が高くなりやすい理由

工場の調査費用が住宅よりも高くなりやすいのは、まず建物が大きく、調べる建材の種類が多いためです。屋根、外壁、天井、鉄骨の耐火被覆、間仕切り壁、事務所の内装など、場所ごとに違う建材が使われていれば、それぞれに分析が必要になることがあります。

次に、増築や改修をくり返している工場では、建てた時期が違う部分ごとに調べる必要があり、検体の数が増えます。さらに、ボイラーや炉、配管などの設備がある場合は、建物とは別に設備の調査が必要になり、設備に詳しい有資格者が担当します。高い場所にある屋根や梁を調べるために、高所作業車や足場が必要になる場合もあります。

アスベストの除去費用の目安

調査の結果、アスベストが見つかった場合は、除去の費用がかかります。国土交通省は、吹付けアスベストの除去費用について、処理する面積ごとの目安を公表しています。

処理する面積1平方メートルあたりの除去費用
300平方メートル以下2.0万〜8.5万円
300〜1,000平方メートル1.5万〜4.5万円
1,000平方メートル以上1.0万〜3.0万円

ただし、この数字は2007年の工事実績をもとにした、吹付けアスベストの除去についてのデータです。現在の人件費や処分費とは差がある可能性があり、国土交通省も、部屋の形状や天井の高さ、設備の有無などによって費用には大きな違いがあるとしています。実際の費用は、見積もりで確認してください。

面積が大きくなるほど、1平方メートルあたりの単価は下がる傾向があります。工場や倉庫は面積が広いため、単価は下がりやすいものの、総額は大きくなりがちです。また、レベル3のスレート屋根や外壁は、レベル1ほど厳しい対策は必要ないものの、面積が広いため、手作業での取り外しや処分の費用が積み重なります。

補助金が使える場合もある

国土交通省の「住宅・建築物アスベスト改修事業」では、吹付けアスベストと石綿含有吹付けロックウールについて、含有調査や除去の費用を補助する制度があります。調査の補助の上限は、原則として1棟あたり25万円です。

この補助金は、自治体を通じて交付されるもので、制度を設けていない自治体もあります。また、対象は吹付け材に限られ、スレートなどのレベル3の建材は対象外です。解体の場合は、アスベストの除去にかかる部分だけが対象になります。補助金を使えるかどうかは、工事を契約する前に、工場がある自治体の窓口に問い合わせて確認しましょう。

アスベスト調査の結果が解体に与える影響

工期への影響:届出と除去で数週間以上延びることも

アスベスト調査の結果は、解体の工期に直接影響します。レベル1やレベル2の建材が見つかった場合は、作業開始の14日前までに届出をする必要があるため、それだけで少なくとも2週間は、除去の作業に入ることができません。

除去の作業では、作業場をシートで覆って隔離し、内部の空気を外に漏らさないようにしながら建材を取り除きます。除去が終わったあとも、資格を持った人がアスベストの取り残しがないことを確認してからでなければ、隔離を解くことができません。こうした工程が加わるため、アスベストのない建物に比べて、工期は数週間から、規模によってはそれ以上延びることがあります。

工場の閉鎖や建て替えでは、建物の引き渡し日や、跡地の売却、新しい工場の着工など、解体のあとに予定が控えていることが多いはずです。アスベスト調査は、解体の見積もりを取る段階で、できるだけ早く済ませておくことが大切です。

費用への影響:除去費と処分費が上乗せされる

アスベストが見つかると、通常の解体費用に加えて、除去の費用と、取り除いたアスベストの処分費用がかかります。吹付け石綿や保温材などを除去したものは「廃石綿等」として、通常よりも厳しい基準で処理しなければならない特別管理産業廃棄物になります。スレートなどの成形板も「石綿含有産業廃棄物」として、ほかの廃材と分けて処理する必要があります。

アスベストの有無がはっきりしないまま見積もりを取ると、工事が始まってから見つかった場合に、大きな追加費用が発生するおそれがあります。複数の業者から見積もりを取るときは、事前調査の結果をもとに、アスベストの除去費用がどこまで含まれているのかをそろえて比べるようにしましょう。

見積もりと契約で確認したいこと

アスベストに関するトラブルを防ぐため、解体業者と契約する前に、次の点を確認しておきましょう。

  • 事前調査は誰が行うのか、調査者はどの資格を持っているのか
  • 調査の費用は見積もりに含まれているのか、別途なのか
  • 分析を行うのか、「みなし」で対応するのか
  • アスベストの除去費用と処分費用は、どの範囲まで見積もりに含まれているのか
  • 工事中に想定外のアスベストが見つかった場合、追加費用はどう決めるのか
  • 発注者が出す届出の書類作成を、手伝ってもらえるのか

機械の搬出・買取とアスベスト調査の段取り

工場の解体では、建物の調査だけでなく、中にある機械や設備をどうするかも同時に考える必要があります。アスベスト調査と機械の搬出の順番を工夫することで、調査がスムーズになり、解体全体の費用と日数を抑えやすくなります。

機械を先に搬出すると、調査がしやすくなる

先ほど触れたように、機械や残置物が壁際や設備の前をふさいでいると、現地調査で確認できない部分が残ります。売却できる機械を先に買い取って搬出し、工場の中を空にしてから調査を行えば、壁や床、配管をくまなく確認でき、調査のやり直しや追加の費用を防ぎやすくなります。

現場の実例|機械買取の担当者から

機械を搬出したら、裏に隠れていた壁や配管、保温材が出てきたケース

工場の機械を買い取り、搬出したときのことです。機械をどけてみると、それまで機械の陰になっていた壁や配管、保温材などが出てきました。

機械が据え付けられている間は、その裏側をのぞくことはできません。工場の中が空になって、はじめて目に入ってきたものでした。

この事例からわかること:機械の裏側は、搬出するまで誰も確かめられない場所です。そこに保温材や古い配管があれば、アスベストの調査で確認しなければならない部分になります。機械を置いたまま調査を済ませると、搬出したあとに追加の調査が必要になりかねません。機械の買取・搬出を先に終え、工場の中を空にしてから調査を行うと、確認もれを防げます。

また、機械を搬出したあとに初めて、機械の基礎やピット、床下の配管などが見えてくることもあります。こうした部分を含めて調査と見積もりを行えば、解体が始まってからの想定外の追加費用を減らすことができます。床下の基礎やピットについては、機械基礎・ピットの撤去費用と注意点で詳しく解説しています。

建物に組み込まれた設備は、調査の対象になることがある

工作機械のように床に置かれた機械を運び出すことと、ボイラーや炉、配管のように建物や設備に組み込まれたものを解体・撤去することは、扱いが異なります。後者は、先ほど説明した特定工作物にあたることがあり、撤去の前に有資格者による事前調査が必要です。

特に、古い熱処理炉や乾燥炉、ボイラーまわりの配管には、保温材や断熱材としてアスベストが使われていることがあります。機械の買取と一緒に設備の撤去を考えている場合は、どこまでが機械の搬出で、どこからが工作物の解体になるのかを、あらかじめ整理しておくことが大切です。

機械の売却益で、調査や除去の負担を軽くする

アスベストの調査や除去は、工場のオーナーにとって避けられない出費です。だからこそ、工場の中にある機械や設備、工具、鉄くずなどを、解体の前に売却しておくことが効果的です。解体業者にまとめて処分を任せると、まだ使える機械もスクラップとして扱われがちですが、中古機械として買い取れば、その売却益を調査や除去の費用にあてることができます。詳しくは、工場の機械は解体前に売却ををご覧ください。

倉庫・工場解体センターでは、工場内の機械・残置物の買取と、アスベストの調査や除去にも対応できる、工場の解体に慣れた業者のご紹介を、ひとつの窓口でお手伝いしています。機械の搬出と調査の順番も含めて、段取りをまとめてご相談いただけます。

工場のアスベスト調査に関するよくある質問

Q. 機械を運び出すだけでも、アスベスト調査は必要ですか?

床に置かれた機械を、建物や設備を壊さずに運び出すだけであれば、通常は解体・改修工事にはあたらず、事前調査の対象にはなりません。ただし、搬出のために壁や床、シャッターなどを壊す場合や、ボイラーや配管などの設備を取り外す場合は、その部分について調査が必要になることがあります。搬出の方法が決まった段階で、解体業者や調査会社に確認しましょう。

Q. 稼働中の工場でも、調査はできますか?

はい、できます。書面調査は工場が稼働していても進められますし、現地調査も、操業に支障が出ないよう日程を調整して行うのが一般的です。ただし、機械や在庫で隠れている部分は確認できないため、閉鎖後や機械の搬出後に追加の調査が必要になることがあります。閉鎖の時期が決まっているなら、早めに書面調査だけでも始めておくと、全体の段取りが組みやすくなります。

Q. 2006年以降に建てた工場なら、調査はいりませんか?

調査そのものは必要です。ただし、設計図書などで着工日が2006年9月1日以降だと確認できれば、その確認をもって調査とすることができ、現地での詳しい調査や分析は原則として不要になります。一方で、古い建物を増築した場合や、設備の一部に古い部材が使われている場合は、その部分について調査が必要です。

Q. 調査の結果、アスベストがなかった場合も報告は必要ですか?

はい。報告が必要な規模の工事であれば、アスベストが見つからなかった場合でも、調査結果の報告が必要です。報告は元請業者が行いますが、発注者としても、報告が済んでいるかを確認しておくとよいでしょう。

まとめ:アスベスト調査は、工場解体の最初の一歩

工場のアスベスト調査のポイントをおさらいします。

  • 解体・改修の前には、工事の規模にかかわらずアスベストの事前調査が必要
  • 建物は2023年10月から、ボイラーや炉、配管などの設備は2026年1月から、有資格者による調査が義務
  • 床面積80平方メートル以上の解体などでは、調査結果の報告が必要
  • 発注者には、情報提供、費用負担、工期への配慮、作業の届出などの義務がある
  • 工場の調査は、建物が大きく設備も多いため、50万〜100万円以上かかることがある
  • レベル1・2の建材が見つかると、届出と除去の作業で工期が数週間以上延びることがある
  • 機械を先に搬出・売却すると、調査がしやすくなり、費用の負担も軽くできる

アスベスト調査は、解体工事の費用と工期を左右する、最初の重要な一歩です。調査の結果がわからないまま見積もりや日程を決めてしまうと、あとから大きな追加費用や遅れにつながりかねません。工場の閉鎖や解体を考えはじめたら、まずは図面や過去の工事の記録を集め、早めに調査を進めることをおすすめします。

倉庫・工場解体センターでは、工場内の機械・残置物の買取と、アスベストの調査・除去にも対応できる解体業者のご紹介を、ひとつの窓口でお手伝いしています。解体前に必要な届出や手続きの全体像は、工場解体の前に必要な届出・手続き一覧でもまとめています。ご相談は無料ですので、無料相談フォームからお気軽にお問い合わせください。

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